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四月八日、証券取引所特別会議室に英語の怒声が轟いた。 怒鳴っているのはイギリス貿易省のM・ハワ−ド政務次官だった。
怒声を浴びているのは竹内道雄東証理事長。 実はハワード次官は、その前に大蔵省の行天豊雄財務官にも大きなゼスチュアを混じえてホワイ・ノット6連発していたのだ。
ハワ−ド次官が苛立たしげに怒声を連発することになったのは、日本側の対応にミスがあったためだった。 日本側では、ハワ−ド次官の来日の日的は、イギリスのケーブル・アンド・ワイヤレス社(C&W)を第二Kに参入させよという要求のためだと考えて、そのための対応を用意していたのだが、ハワ−ド次官の主日的は、実は「東証会員権をイギリスの証券会社に開放せよ」との要求だったのだ。
もっとも日本側はハワ−ド次官の主日的を知っていて、難問なのでわざと対応をとり違え、だからこそハワード次官はなおのこと怒ったのだともいわれている。 「ロンドンに進出している日本の銀行、証券会社は全部ロンドン証券取引所の会員資格を持っている。
東証会員権を持っているイギリスの証雲社はS・・ウオーバーグ一社だけだ。 日本の金融制度の閉鎖性の何よりの証拠で不公平きわまりない」「年内に開放すると約束せよ」と語気鋭く迫り、竹内理事長が「懸命にご希望に沿えるよう努力はするが、年内という約束はできかねる」と答えると「ホワイ・ノット?」の怒声の連発となったのだ。
その挙旬、ハワ−ド次官は「もしも日本が速やかに対応しない場合は、ロンドンに進出している日本の金融機関の営業免許を取り消す」と宣一言回した。 しかも、単なる威しではなく、イギリスではハワ−ド次官が来日する直前の閣議ですでにそのことを決めていたのである。
こうしたイギリスの強硬姿勢に、日本側は困惑するばかりである。 「不思議でしょうがないのです。
会員枠は絶対に拡げないといっているわけではなくて、『来年五月に取引所の新しいビルが完成すれば新会員を受け入れるスペースも確保できるので、そのときには枠を拡げます』と説明しているのですけどね。 具体的なスケジュールを出して説明しているのに、理解してくれない。

ワケがわかりませんよ」(I月茂秋・東証こうしたハワード旋風が吹き荒れた直後の四月十四日、度はアメリカからイギリス以上の爆弾を抱えた男たちがやってきた。 ガ−ン上院議員(共和党、ユタ州)、シューマー下墜職員(民主党、ニューヨーク州)たちグ金融証券調査因。
で、日本の金融体制の閉鎖性を徹底調査し、思いきった開放を要求するためだった。 実は、アメリカでは八六年末に野村、大和の両証券会社が政府公認のディーラーとして認められている。
それに対して現在「日本の金融市場が閉鎖的なのに、政府公認のディーラー権利など与えるべきでない」と。 認可差し止め。
を求める法案が下院に提出されているのだが、その法案作りの中核となったのがシューマー議員たちなのだ。 シュ−マーたちはハワ−ド次官と同様の要求に加えて「アメリカの銀行・証券会社がもっている日本の国債の引き受け枠を大幅に増やせ」と主張した。
いまや債権ディーリングが非常にうま味のある商売になっているためである。 日本の国債は大手の銀行、証券などで組織するシンジケート聞によって細かく比率を決めて各社に割り撮るという方式を取っていて、今年の四月発行分から外国銀行は全体の一・0一三パーセント、外国証券は五・七二五パーセントに拡大されていたのだが、実はシューマー、ガ−ンのアメリカ勢は、単に枠の拡大だけでなく「シンジケート団を組んで割り振ること自体けしからん。
競争入札で世界のどの金融機関でも自由に入札できる方式に変えよ」とも要求しているのだ。 「東証会員の枠をぐんと拡げて事実上開放し、国債の引き受けを競争入札せよ。
それをしないと、アメリカでの政府公認ディーラー権を剥奪する」・。 だが、アメリカが用意している対日爆弾はそれだけではないのだ。
それ以前にもアメリカは対日爆弾をいくつも投げつけてきていた。 この一年間の代表的なものをあげてみよう。

今年の正月、日本長期信用銀行がニューヨーク連銀の公認ディーラー、W・ボロック社を買収しようと交渉を始めたところ、RB(連邦準備制度理事会)が日本の大蔵省や日銀に働きかけて、結局長銀は買収を断念せざるを得なくなった。 また、住友信託、安田信託などがニューヨークに信託業務を行う現地法人の設立を申請しているのに、理由を明らかにされないまま握り潰されている。
八六年五月には、住友銀行がアメリカの投資銀行ゴールドマン・サックスに五0パーセントの資本参加を図ったのに対して、RBが出資比率を二五パーセント以下にして役員などの派遣も一切しないという厳しいタガをかけ、最終的には。 単なる投雰という形に規制してしまったという事件もあった。
こうして見ると、シューマー、ガ−ンなどに代表されるアメリカ勢が日論でいるのは、日本の金融制度の開放というよりは日本の金融機関封じ込め、いや閉め出しではないのかと思わざるが得なくなる。 ある大手証券会社の国際担当部長にそのことを確かめると「まさにその通りで、米英連係の日本封じ込め作戦」だと語気を強めて答えた。
「それに国債の引き受けの枠を拡げよ、いや自由な競争入札にせよ、シンジケート団方式はけしからん』といわれでも困るのですよ。 われわれ日本の銀行や証券にしてみれば、正直いってありがたくないお荷物だった国債をお上の意向で長い間背負わされてきたわけで、いま国債にうま味が出てきたからといって、われわれの汗と涙の実績を無視されてはかなわない。
それをやったら今後、お上のいうことなど誰も聞かなくなってしまいますよ」彼は、東証会員権の開放要求に対しても「アメリカ勢やイギリス勢は、自国の銀行も会員にせよと当然いってくるはずです。 それを認めたら、銀行と証券の垣根(証取法六十五条で定められている)がムチャクチャになってしまう。

もし認めなければ閉鎖主義だと非難する。 要するに無理難題」なのだと吐き捨てるようにいった。
マネーが国を見捨てる日米英側「自己資本比率・」でゆさぶりだが、実は米英勢は決定版ともいうべき日本封じ込め戦略を構築して、まさに実施に移そうと図っているのである。 戦略を考え出したのはニューヨーク連銀のコリガン総裁、パートナーがイングランド銀行総裁のリ−・ペンパ−トン。
金融業界ではコリガン・ペンパ−トン旋風と称しているが、文字通り米英の連係作戦だ。 その。
決定版・日本封じ込め作戦について、事情に詳しいT田博美(元大蔵省銀行局長、現野村総合研究所所長)が次のように説明した。 「確かに厄介きわまりない要求でしてね。
それから見れば東証会員権や国債の引き受け枠の拡大なのでものは楽なもの少なくとも根はそれほど深くない」T田は自己資本比率がなる言葉を口にした。 「言い出しっぺはアメリカで、銀行の自己資本比率規制を共通の水準でやろうという提案、なのですよ。
欧米に比べると日本は自己資本島率がだいぶ低いのです。 理由は金融機関の体質強化ということなのですがね。

たとえば自己資本を貸し出しの六パーセント持てということになると、自己資本が六億円だと百億円以下の貸し出ししかできなくなってしまう」

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